紅毛港保安堂

(台湾・高雄 日文版訪談紀錄)

台湾で唯一、日本海軍艦艇を神艦として祀る廟

保安堂が祀っている「日本軍艦」とは…
保安堂が祀っているのは日本海軍艦艇「蓬38号哨戒艇」です。
蓬38号哨戒艇は、長い間台湾高雄港を守ってくれていました。
しかし、第二次世界大戦中に米潜水艦による攻撃を受け、台湾の南に位置するバシー海峡にて沈没しました。
この「蓬38号哨戒艇」という艦艇名と戦没者145名全員の名前が分かったのは、2018年のことです。

保安堂について…
保安堂が祀っているのは、日本海軍艦艇「蓬38号哨戒艇」です。
実はこれまで、保安堂の神艦に手を合わせてきた地元住民たちも、みんなこの「日本軍艦」が一体どの艦艇で、乗組員は何人なのか、70年以上誰も分からないままでした。
正式な艦艇名と戦没者145名の名前がわかったのは、2018年のことです。
保安堂に祀る神艦が「蓬38号哨戒艇」だと判明した後、私たちはすぐ日本へ赴きました。
そして日本では、政府関係機関において「蓬38号哨戒艇」を確認し。
保安堂の英霊145名が、靖國神社に祀られていることも教えていただきました。
また、階級特進についての資料も見せていただきました。
保安堂と日本人との現在のような交流は、どのようなきっかけで始まったのですか?
もともと保安堂は、高雄の中心地から離れた「紅毛港」という漁村にありました。
ところが後に、「紅毛港」は政府による集落移転を余儀なくされることとなり。
保安堂もこの集落移転の際に、現在の高雄市鳳山区へ移ってきました。
保安堂が高雄の中心部に近いこの場所に移ってからは、多くの日本人や台湾人が参拝に来てくれるようになりました。
戦前から戦後の長年に渡り、高雄港を守り続けている保安堂の蓬38号の存在は、ここに来る日本人と台湾人の交流を盛んにしてくれています。
そこで私たちは、過去に向かい未来に繋ぐ日台関係を目的としたグループ(台湾日本未来会議)を作りました。
ひとつの大きな目標としては、保安堂に祀る英霊たちの日本へのご帰国を叶えること。
みんなで力を合わせ、英霊たちの帰郷を実現させたいと思っています。

保安堂が行った儀式「海上引霊法会」とは…
私たちは「海上引霊法会」という、蓬38号の戦没者145名の魂を、海から引き上げる儀式を執行いました。
実はこの儀式が行われるという時、史上最大級の台風が高雄に接近していました。
台風の影響で、儀式の延期も考えざるを得ない状況でした。
しかし、5千人を動員するこの「海上引霊法会」の儀式の日程を、簡単に変えるわけにはいきませんでした。
そこで私たちは、保安堂の海府大元帥(蓬38号高田艦長)に手を合わせ、こう願いました。
どうか台風が進路を変えて進みますように。
そしてどうか無事に儀式が遂行され、英霊145名の魂を保安堂へ迎え入れることができますようにと。そして当日、この願いは全て叶えられたのです。

実は、私はこの時、英霊たちにひとつ約束していたことがあります。
それは、無事儀式を遂行できた暁には、私はここ保安堂に寝泊まりをするということ。つまり、保安堂に迎え入れた英霊145名の日本への帰郷が叶う日まで、私は英霊に寄り添いここ保安堂から離れないと誓ったのです。

私たちは、国の為に戦死され、ここ台湾に眠る英霊たちを、日本が国として正式に慰霊することを望みます。私が家に帰れるのは、それが達成できた、その時です。

紅毛港保安堂”台湾で唯一、日本海軍艦艇を神艦として祀る廟